3D京都

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新刊書「ビジュアル 日本の住まいの歴史 ① 古代」の紹介です。

もう明後日には五月です。照葉樹林の若葉が眩しい季節、その様は私には「緑の紅葉」と思えてなりません。

さて、本日はご本の紹介をさせて頂きます。
㈱ゆまに書房さんから刊行されました「ビジュアル 日本の住まいの歴史 ① 古代」です。
著者は家具道具室内史学会、監修が小泉和子氏、執筆者は同小泉氏と川本重雄氏、木下真理氏の御三方です。

日本の住まいの歴史-表紙

何故、本書を紹介しましたかと言いますと何の事はない、私自身の描いたイラストが掲載されているからです。ちゃっかり、本の名を借りた自分アピールです。すみません 笑。
掲載されているCGイラストは先々月の12日に放映された、NHK・BSプレミアム「偉人たちの健康診断」の中にて使われた「平清盛の本邸・六波羅泉殿」の寝殿内部図です。

日本の住まいの歴史-平清盛六
左が平清盛の六波羅泉殿の寝殿内部図。

同寝殿の作図にあたっては元京都女子大学学長で寝殿造の研究で著名な川本重雄先生のお声がけもあって「偉人たちの健康診断」に採用されたものです。
そのような経緯もあり、今回、川本先生が共著された上掲の「ビジュアル 日本の住まいの歴史 ①古代」にも再度、イラストを載せて頂ける機会を得てお礼も兼ね紹介するものです。

もちろんお礼だけでなく、本の内容そのものが素晴らしいので「是非、少しでも多くの人に読んで欲しい」との思いが強くあります。

内容ですが、本書・古代編では、縄文~平安時代にかけての日本の住まいとそこに暮らす人々の家具や道具、また現代人からは殆ど伺え得ない台所や風呂、トイレなど、生活に密着した裏方部分にまでスポットを当て、豊富なイラスト、立体図、絵画や絵巻などのビジュアルな図版を駆使して解説してあります。もちろん、上は天皇の御所から貴族の寝殿造、一般庶民の住居まで網羅しています。文章も大きな文字でルビも振ってあり子供から大人まで分り易く書いてあります。言わば「見て楽しみ、読んで納得」と、一挙両得です。

今まで、歴史の上の建築は建築の本、家具は家具の本、という風に別れて書かれているのが一般的でしたが、本書では、上でも言いました通り、建築としての住まいと家具・道具を一体化して描かれております。結果、そこには各時代の生活、文化、芸能、風俗、民俗といった歴史の條々を包含し、いわば、この書・シリーズ(中世、近世、近現代編)を読めば「日本の暮らしの歴史を通覧できる」という、これこそ本書の最大の特色です。教科書の副読本にもおススメなレベルです。

ページの中を少しめくってみます。

寝殿造の空間-日本の住まいの
寝殿造の空間。藤原氏の東三条殿の立体イラストと殿内、家具の説明を加えた図。

とか、

類聚雑要抄の一部
「類聚雑要抄」にみる寝殿のインテリア。

「類聚雑要抄」は平安時代後期に編まれた宮中や摂関家の儀式・調度に関する記録集です。作者は摂関家家司の藤原親隆が久安2年(1146年)頃に作成したと言われています。現在、残っているのは写本で、同要抄と17世紀にこれを図版化された「類聚雑要抄指図巻」の二つについて紹介と解題・解説した現代版「類聚雑要抄指図巻」が中央公論美術出版社より刊行されています。編者は川本重雄教授と小泉和子女史(工学博士・昭和のくらし博物館館長)です。

類聚雑要抄指図巻表紙
「類聚雑要抄指図巻」中央公論美術出版社刊(紀伊国屋書店HPより写真引用)

で、両氏とも今回の本書の執筆者でもあります。また、本書の著者として「家具道具室内史学会」とありますが、その史学会の会長をされているのが小泉和子氏、副会長が川本重雄氏。ここで繋がってきます 笑。

家具道具室内史学会
家具道具室内史学会の公式ホームページ。(リンクはしておりません。直接、ネットから検索してください。)

ちなみに、家具道具室内史学会ですけど、”家具・室内意匠と生活道具の歴史を研究することを目的とする学会”とのことだそうです。日本の現代以前の住宅は、たとえば、畳に布団を敷けば寝室、膳を置けばダイニングという風に室内と家具・道具が明確に分離しているものではありませんでした。その点、西洋や中国などは食堂であれば食卓と椅子、寝室であればベッド、というふうに家具が独立した存在で室内も用途別に別れていました。家具文化という面では日本は欧米等に比べ多彩なものではありませんでした。一方の日本は多彩ではないけど「一つの部屋で何にでも使える」という極めて合理性に優れていました。その点について同史学会では「日本には日本独特の家具のあり方があり、独自の家具文化として発達してきています。その意味では特に建築史の場合、家具・室内意匠を除外しては、建築を本当に理解することができません」と概要で述べられ「そこで家具道具室内史としたのです。これによって欧米式ではない、日本独自の新しい学問をうちたてたいと考えています。この分野は、家具・建築史、民俗・考古学はもちろん、文献史、美術史、技術史、社会史、文化史をはじめとしてさまざまな方向からの取り組みが可能ですし、大きな成果が上がるものと思います。したがって日本だけでなく、外国を研究対象としている方、あるいは外国の方でも、いろいろな意味で研究に取り組む価値はあると思います」と設立の趣旨を宣言されています。

私自身、本書を手に取るまで「家具道具室内史学会」という学会があること自体知りませんでした。発起人には各分野から錚々たる方が集まり、今までにはなかった新しい学問分野として一素人ながら期待しています。

家具道具室内史学会について書きながらふと思ったことがあります。
私自身、3Dで御所の御殿とか作りながら西洋の建築と較べたりします。
そこで一つ思ったのは、西洋の建物は多くのデコレーションとモールディング(壁と天井、壁と床、何らかの段差などに施す建築意匠、後、塑像のような造形的なもの)に装飾されています。貴族の室内の壁には歴代の先祖の肖像画が所狭しと飾れ、それは今でも一般家庭の壁に家族写真の額を沢山飾っています。日本でも家族の写真が飾られいますが、たとえばサイドボードに置くというふうな”置く”スタイルで壁にたくさん飾ることはあまりありません。飾る、という事について宗教建築は別として住まいの比較では違う感覚があるような気がします。

宮殿等の華やかな西洋建築から上述したデコとモールディングを取り除いたら意外にも、単純な、直線的な、左右対称な、箱ものが現れてくる気がします。それは四方形や角棟、円筒、角推と形こそバリエーションに富んでいますが、基本、左右対称でとくに屋根はシンプルなイメージを持ちます。3D的には作り易いと思います。一方、京都御所の御殿を見ると、たとえば屋根から装飾を除こうと思ってもあまりありません。ストレートに檜皮葺に触れるだけです。その代わり、反り,跳ね、縋り、むくり、を帯びた非対象、そう、まるでベジェ曲線のような不整形が連なっている感じで3D的には作るのが厄介です。日本の木造建築は屋根が重要ですので少しでも軒高との比率を間違えると全体として緞帳なものになってしまいます。御所の屋根には装飾はとても少ないけど、素材、屋根の形そのものが装飾である、と思えてきます。装飾の捉え方の違いは、家具文化の違いにも表れている気がします。

すみません、話がどこかへ飛んでしまいました。戻します。

今回紹介しました「ビジュアル 日本の住まいの歴史 ① 古代」は大判サイズで68ページ。値段は税込みで3,080円。ちょっと高いですが内容は図版が豊富でとても理解し易く書かれています。同じシリーズとして、② 中世、③ 近世、④ 近現代、と合わせて四冊が刊行されています。アマゾン始め通販、全国の書店にて取り扱っています。是非、おススメです!!


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