2019-07-03 (Wed)
皆さん、あのアインシュタイン博士が京都御所のことを「これまで見た建築物の中で一番美しい」と日記の中で書き残しているのをご存じですか? 御所の事を調べていたら偶然、知った挿話です。
※ コメントの書き込み欄は下にあります。
アインシュタイン博士。
アインシュタイン博士といえば誰もが知ってる相対性理論(物理的理論は別)で世界的に有名な方ですよね。ノーベル物理学賞も受賞し、天才、人類の叡智とまで言われた御仁です。その方が京都御所を一番美しいと讃えた、と言うのですから驚きです。
よく「アインシュタインも言っているから正しい」みたいな自説を正当化する「拠り所」として同博士の言説が引き合いに出されることも多いので、京都御所の事も本当にそう言ったのかなぁ、と半ば半信半疑でしたが、その真偽を調べった結果、本当にそうでした。
少し長い引用になりますが、共同通信の2014年11/14日付の記事によれば、
物理学者アインシュタインがノーベル物理学賞を受賞した1922年に来日した際に自らサインしたはがきが、滋賀県東近江市の博物館「西堀栄三郎記念探検の殿堂」で見つかった。
第1次南極越冬隊長の西堀栄三郎氏(1903~89年)の親族が昨秋、博物館に寄贈した遺品の中にあった。鑑定した大阪府立大の金子務名誉教授(科学思想史)は「来日は講演や観光が目的で、訪問先でお礼代わりに渡していたようだ」としている。
博物館によると、来日したアインシュタインが京都に滞在した際の費用を西堀家が援助したことをきっかけに西堀氏が通訳を務め、京都や奈良に同行。その際に、今回のはがきが贈られたとみられる。
裏面には上半身の肖像写真がありブロマイドのようで、余白部分に署名と22年12月12日の日付が手書きされている。日付当日は、京都の二条城を訪れていた。
金子氏によると、アインシュタインは日記で京都御所を「これまで見た建築物の中で一番美しい」としており、日本文化や生活様式に共感していた。西堀氏は自伝で同行の経験を「心の革命を起こさせられた有意義な出会い」と表現している。
との内容。記事の中で確かに京都御所を「これまで見た建築物の中で一番美しい」と日記に残していたことが分かりました。日本滞在中に人前で・・・ということであればリップサービスの可能性もありますが、流石に日記の中なら想ったことをそのまま書いているのかな、と想像されます。
私は今まで見たなかで「伊勢の内宮と京都御所」が一番美しく清かった、と思っていましたが、同博士も讃えていたことを今回知って「自分の審美眼も満更ではないな」と一人悦に入っていたりしてます。壮大で美しい建築物は結構あっても、それに”清浄”と付くと意外と少ないのかも知れません。
アインシュタインがノーベル賞を取った頃は第一次世界大戦が終わった直後で戦場となったヨーロッパはとても疲弊していました。開戦後、二週間もあれば戦争は終わる、とみな楽観的に思っていましたが、いざ蓋を開けたら、二週間処ではなく泥沼の戦いが4年間も続き何千万もの人々が犠牲になりました。近代戦の残酷さが如実に表れた戦争でした。
一方の日本は直接、戦火に見舞われることもなく、まさに大正ロマンが花開いた束の間の平和を享受していました。そんな時代の最中、長い航海を経て博士は来日。各地を巡るなかで日本の文化や歴史・生活に多く触れました。そして、その延長線上に京都御所と出会ったのだと思います。悲惨な大戦後でしたから、余計、「清い」ものに惹かれたのではと思います。
さて、そんな京都御所シリーズ。今回は追加分として参内殿エリアの参内殿、長橋局、奏者所を3Dで作ることにしました。手始めに参内殿が出来上がったので作品の3DCGなどアップしますね。
様式美?に従い参内殿の概要を書きます。まず、位置図、御所のどこのエリアか?
赤く囲った”参内殿エリア”が該当します。この周辺はこれまで作った3Dもなく空地状態。参内殿を作れば御所の作品全体のバランスも取れ、良い動画が撮れるかも?と考えている次第です。
参内殿の外観はどんなものなのでしょう?前記事でも触れたように非公開エリアの中でも特にそうなので写真も少なくやっと見つけた写真が以下の、
宮内庁HP(御所と離宮の栞より引用)。
こんな感じ。細部までは流石にわかりません。過去、古写真もアップしてます。
明治5年の「壬申検査」により撮られた参内殿の古写真。
先日、宮内庁の公文書館で閲覧した「京都御所屋根之圖」からも参内殿周辺の屋根図をアップします。全然、関係ないことですが今日、自分のスマホへ突然、宮内庁から電話がありました。依頼していた「京都御所屋根之圖」の複写が完成したとのこと。紙ではなくデジタルデータですが末永くお宝として大切にします。
参内殿周辺の屋根伏せ図。「京都御所屋根之圖(宮内庁公文書館蔵)」。
そして、今回も3Dの基礎資料である、「翻刻 安政御造営図志(編集:庄司成男、荒川玲子の二氏、庄司氏は元宮内庁京都事務所長、荒川氏は元宮内庁書陵部編修課主任研究官をされた方。発行は宇土條治氏)」のなかに描かれた外観図もあります。
参内殿の外観図(翻刻 安政御造営図志-より引用)。
絵的にはこんな感じですが、当然というか手元に設計図も立面図もありません。僅かにある写真と安政御造営図志に書かれた仕様書・指図を元に手探りで作ってみました。
参内殿の指図と仕様書。
指図からは間取り構成と建具の種類・位置を確認しました。仕様書の方は赤線で引っぱった所など参考にしてます。それによれば、参内殿の規模は梁行四間桁行八間。妻側の側面が約7.8m、正面の南北が15mほど。それに1.96m×9.8mほどの東御縁坐敷が付属してます。
で、驚いたのが軒高。何と一丈八尺三寸、5.5m以上もあります!。梁間が四間ほどであれば大体4m前後が普通なのにここは高い!どう見ても背高ノッポの建物になるはず、と思って写真を見たらヤッパリそうでした 笑。車寄せの軒高も4.8mと結構あります。屋根は檜皮葺きの入母屋、御殿周りの縁には高欄(手摺)が付いてます。車寄せの敷石は”半敷石有之”とあります。禅寺の床などによく見かける菱形の石です。あっ!組み物の船肘木を付けるのを忘れてしもうた! 間に合わないなぁ・・・。
梁間こそ狭いですがとても格式のある仕様です。帝、皇后の使われる御殿や渡り廊下以外での檜皮葺の屋根は意外と少ないのですが参内殿の東隣にある、とても権力を持った長橋局の屋根でさえも杮葺きです。その意味で参内殿は帝が直接使われる御殿ではありませんが皇族、摂家、摂政関白、時に上皇様の上がられる玄関だけあって立派です。ただ、バランスがぁ・・・、と気になる点は有りです。ちなみに安政度の御所の再建でも各建物毎に大工組の割り当てがあって競い合ったそうですがその分、力量の差も出たと思います。実際、御所を見学すると、たまに、?的な意匠と出会うのも確かです(個人的感想)。参内殿は? 分かりません。
※ 寸法関係は基本、京間寸法を使っています。一間の長さが約1.96m、明治以後の尺貫法だと1.82m。今でも住宅の間取りに使われていますよね。で、御殿の高さですけど一丈=3.03mで計算してます。尺貫法・・・混乱してます・・・。それにしても京間と江戸間、中京間と寸法違い過ぎますよねぇ。ホント、3Dも困ってるんですよ。
以上、概要について書きましたので3DCGの掲載に移ります。
参内殿の西から見た正面です。屋根が高いのが分かりますか?車寄せは唐破風の迫力ある大きさです。写真で見る通り飾り金具でデコしました。高欄、菱形の敷石も格式の高さを表しています。
車寄せを中心にした正面です。
車寄せ玄関を拡大してみました。天井は格天井になっています。外観建具は主に遣戸、内側が明り障子になってます。思ったのですが、御所の建物には雨戸を収納する戸袋が目立たないというか少ない気がします。雨戸の代用として遣戸(板戸)と障子でセットしてる感じです。二条城の二の丸御殿など巨大な戸袋があるのですがどう違うのでしょうか?これも御所風の拘りでしょうか?
南側から見た参内殿。右(東)に長く続く渡り廊下は帝の御常御殿のエリアへと繋がっています。
斜めから見た玄関車寄せと御殿。内部の障壁画が薄っすら見えます。
逆に北東側から見た参内殿。杉戸も見えます。同殿だけだと何ですがこれから作り込む長橋局と奏者所が完成したらシンフォニーを奏でるが如き良い味出すと思いますよ 笑。
北側から見た参内殿。
おぉ! 普段は非公開でまったく伺言えない参内殿の内部をフォーカス。遣戸も消えて3DならではのオープンざWindowsです 笑。ただ、最初にお断りしておきますが、この目で観たことはありません。あくまで「こうじゃないか」と推測がかなり入っていますので本物と違う点はご容赦ください。「非公開だからこそ見てみたい」。そんな人間心理の衝動です 笑。
ここから本格的に内部へと入って障壁画の案内とかする予定「でし」たが、冒頭のアインシュタインの挿話もあって紙数を割きました。長くなりそうなので内部、内観編は次回に急遽回すことにしました。どうかよろしくお付き合いください。
※ お問合せのメールフォームは左サイドバーにあります。
ランキングアップします。お手数掛けますが励ましの二押しお願いします!
※ ブログに掲載する3DCG、加工済画像等の無断転載は固くお断りします。
- 関連記事
-
- アインシュタインが愛した京都御所-参内殿廻り外観 (2019/07/11)
- アインシュタインが「これまで見た建築物の中で一番美しい」と讃えた京都御所 弐-参内殿内部 (2019/07/05)
- アインシュタインが「これまで見た建築物の中で一番美しい」と讃えた京都御所 壱-参内殿外観 (2019/07/03)
- 戦前まで残っていた京都御所の大台所廻りの3Dにチャレンジ! 第一期完結編 (2019/06/24)
- 実は京都御所は江戸城より豪華だった! 前編 (2019/05/26)
スポンサーサイト















