3D京都

いにしえの京都を3Dで再現します。短歌、史話、公家さんも書きます。

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年輪のない森


★ 閉められた 窓のブラインドが 揺れている 終末期病棟を 行き交うストレッチャー

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パイプを抜ける風の声に金属音の寂しさを感じた後、病院に見舞いに行った。長い廊下を抜け、終末期病棟に入った。窓は閉まっているのに微かにブラインドが揺れていた。廊下の隅にストレッチャーが置いてあった。だからその振動の余韻かもしれない。病室に入り本人を見舞った。お世話になった方だ。

本人はもう自分が末期であることを知っている。だから、逆に見舞客の方に気遣ってくれる。たまに喉から苦しそうな「咳き」が聞こえる。そして窓を見やるとブラインドが微かに揺れている。揺れる理由は、その方の声ではなく、息の振動だった。声は出ずとも絞るような息の迫力があった。「早く元気になって退院してくださいね」。そう声をかけたけど、本人は笑っていた。もう挨拶言葉と思われたのだろう。後日、亡くなられた。


★ スリッパを 素足で履く 冷たさは 君の春と 僕の冬にも似て 

別に妻に冷たくされた訳ではない。ただ、スリッパを素足で履く冷たさを、少し距離のある相聞歌にあてはめてみた。
こんな年で恋もなにもない。最近は芸能人の不倫騒動がかまびすしい。下手に恋などしたら笑われる。そもそも相手がいない。
だからと言って、恋の歌は短歌の重要なファクターの一つ。万葉の昔から変わらない。だから短歌を詠む人は女性が多い。「芭蕉だって恋の俳句なんぞ聞いたことない! 必ずしも恋は短歌に必要ない」と強情を張るけど、たまには恋の歌を詠んでみたい。夢を食う獏のように、想像の恋人を作り、その女性に愛の歌を捧げる。そんなストーリーを描いている。だから、もし、私が愛を詠んだらそれは想像の女性、マドンナと思ってください。


★ 録画という 止まった時間を ため込んで 年輪のない 森が増えてゆく

最近、テレビのBS番組を録画予約する方法を覚え、朝、新聞を見た後、良さそうな番組を録画している。実はテレビ中毒になってはいけないと録画からは遠ざかっていたのだけど、最近のBSの映像は美しい。思わず見惚れてしまう。だから録画するようになった。でも、あれも、これも録画してくと、何から観るか迷ってしまう。迷っているうち、録画した番組がどんどんたまって、もう、追いつかない・・・。観る人間は一人だけど、映像はパラレルに多重してゆく。私のなかの「ネオ・フィルム」は年輪のない空白な森に眠っている。


★ オルゴール ヒップホップも 単音に 薪が伴奏する 暖かき冬のあり 

また、オルゴールの歌を詠んでみた。単音の旋律は物悲しく、心を鎮めるときにはちょうどいい。それに薪ストーブの炎は、斎藤茂吉の「くやしまむ言も絶えたり炉のなかに炎のあそぶ冬の夕ぐれ」と歌ったように心地よい。たまに薪がパチパチと爆ぜる。それがいい。適度なビートだ。さぁ、今夜も相伴しよう。



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