FC2ブログ

3D京都

いにしえの京都を3Dで再現します。短歌、史話、公家さんも書きます。

Entries

Mysterious Japan ― 京都御所渡り廊を巡って

京都御所にはたくさんの廊下があります。殿舎間を繋ぐ廊下は「渡り廊」と言って廊下の”下”の字を使わない場合もあります。これは寝殿造では、廊下を渡り殿とか透廊と呼んだ名残があって、また、”殿上人”という言葉があるように、主に貴族階級(公家等)など、彼らが廊下を歩く訳にはいきません。”下”に下がるからです。とくに朝廷ではこの用語に拘った形跡があります。
ですから近世の指図を見ても廊下の呼称が「廊下」や「渡り廊」と混合しています。

象徴的に言うなら「帝は廊下を歩かれない」、という感覚があるのではと考えています。

京都御所は儀式空間である紫宸殿周りの土間回廊等を除いて廊下はすべて床張りで殿舎間を繋いでいます。紫宸殿から後宮の最奥まで地面には下りずに辿り着けます。

今回は御所の渡り廊を3Dで作ってみました。
その過程で思ったことを少し書きます。
いみじくも外国人を魅了している「この廊下は一体どこまで続いているのか?」というミステリアスについてです。
ほら、あの伏見稲荷の朱の鳥居だって外国人観光客に大人気じゃないですか!「この赤いトンネルどこまで?」という風に。

京都御所を参観すると、醸し出す清浄感と御殿の連なりに魅了されますが、その建築美に大きく貢献しているのが一群の「渡り廊」の存在です。単体の殿舎だけではこのような構成美は生まれないと思います。

御所は過去、幾度も炎上しています。しかも蔵や築地塀、門等を除いた御殿群はすべて全焼というケースが多いです。
その大きな原因の一つが「渡り廊」。火は廊伝いにあっという間に広がります。まさしく類焼の張本人が渡廊です。

なのに、言い方は何ですが懲りずに延々と渡り廊で繋ぐ御殿を再建してきました。
理由に雲上人である帝が紫宸殿から後宮の最深部まで地面を踏まずに御殿を渡る必要があった。しかも全て床張り。また、寝殿造への憧れ。そして何よりも渡り廊のある御所の美しさへの拘りがあったのでは、と想像します。だから燃えても燃えても省かない。

今回、渡り廊を3Dで作ってみて実感したのは、計算しつくされた上での御殿との調和、構成美があったのだな、という感想。
たとえば、複数の渡り廊で屋根の高さは違っても軒の高さは一定に揃える、など。これだと波を伴うような屋根の上下と軒のストライブが絶妙なバランス美を生み出します。

折角ですから対極の存在ともいえる中国の「四合院」と比較してみたいと思っています。
あの有名な清朝の宮殿であった紫禁城もたくさんの四合院から成り立っていました。
まずは紫禁城の写真でも、
紫禁城全景(拡大)
紫禁城。

壮大ですね。南北961m、東西753mもあって面積は72万約平方メートル。京都御所は面積11万平方メートル。京都御所の約七倍もの広大さです。世界一の木造建築群と言われます。
で、その敷地図です。
紫禁城敷地図
紫禁城敷地図。

方形に囲まれた建物群がたくさんのあるのがわかります。これらはほとんど四合院です。

一方の京都御所の指図。幕末、安政度の内裏です。
安政度内裏図(京都大学附属図書館蔵)
安政度の内裏図。(京都大学附属図書館蔵)

どうです?。紫禁城が各四合院が独立していて廊下などで繋がっていないのに比べ、
京都御所の方は複雑に入り組んだ廊下が縦横無尽に走っています。基本、左右非対称な雁行型です。
この迷宮のような不規則性が外国の方には「ワクワク感」が湧いてくるようです。
では四合院とは?
四合院(如意亭)

如意亭さんから引用しました。

四合院は、方形の中庭を囲んで、1棟3室、東西南北4棟を単位とする北方中国の伝統的家屋建築です。 道路(胡同)に面した建物の壁と接続して高さ2メートル近い煉瓦壁が築かれ、南側に大門(表門)を構えています。
清朝の時代、満州族は騎馬民族でもありほとんど土足の生活。机や家具、ベッドなど西洋と変わりない生活様式でした。

四合院の語源自体は、中庭を中央に設け、中庭の中央に「十」文字の通路を作り、その東西南北の突き当たりに、それぞれ一棟ずつ建物を配置することから四合院と呼ばれました。

この高い壁に囲まれた閉鎖的な空間は自己完結型の家で家事洗濯から厨房や厠、主人と家族の居住建物、祭祀まで行われていました。2mを越えるレンガの高い壁、また出入りの門が一つしかなく外敵から身を守るにも最適でした。当然、火事など特に類焼を防ぐのに効果がありました。ただし、一端、外敵に囲まれたりしたら逃げ場がない、という難点もあります。

このバージョンアップ版が紫禁城の○○宮と言われた四合院の一群。官僚の詰所や皇帝の家族、後宮の側室などが住みました。一般よりさらに高いレンガ壁に囲まれ、類焼も防ぐ防備でもありました。

実際、紫禁城でも火災は幾度か発生していますが、○○宮単位での火災が多く、隣あたりは類焼するかもしれませんが、宮殿そのものが全焼する、などということはありませんでした。

ここが日本の御所と違うところで、日本にも町屋で類焼を防ぐ目的のウダツがありましたが、この四合院には敵いません。

しかし、建物として比較した場合、紫禁城で個々の四合院(宮)を見れば、他の四合院も似たり寄ったりで、その意味ではワクワク感はあまりないかも。

やはり土足でなく床に上がって渡り廊下で御殿を巡る浮遊感は日本建築の一つの楽しみかな、と思います。
現代ではそのようなお屋敷はほとんど無くなりましたが、それでも古い格式のある大型旅館には迷宮廊を巡るミステリアスが残っています。

もちろん、京都御所も。

それでは、今回作成した3Dを掲載します。
CGはクリックすると拡大します。

まずは、出来上がった渡り廊下の位置図から。

御所3D制作-御拝道廊下等-2018-07-12
赤い囲みが今回作った渡り廊下。点線の囲みは今後の制作予定。小御所に御学問所、そして御所最大の建物である常御所まで。後は平面図と各部屋の用途説明とか為になる話。また書きますが、紫宸殿と回廊、清涼殿とその渡り廊下について動画を作成してみたいと思ってます。

題して「京都御所の御殿に上がってみよう!」。公家になった気分で中を歩きます。多分、本邦初公開。普段、御所は外からしか拝見できませんから、せめて3Dで仮想体験してみようという趣旨です。

あぁ、また完成する前に言ってしまった・・・・。言わずにおれない私の弱い性格。ただし、口は堅いですよ 笑。

さぁ、何といっても一日は朝靄から始まります。

スモッグ-建礼門だけ見える
朝靄に包まれた御所。僅かに建礼門だけが遠目にうっすら見えます。


段々近づいてまいります。
さらに霧が晴れる
さらに靄が晴れる。

期待に胸が弾む。誰が・・・?

さぁ、きれいに晴れた!
さっそく上空から御所の建物をパチリ。ドローンも真っ青??

御所の斜め上からの全景-2018-07-12
御所の斜め上からの全景。

次は何と言っても渡り廊を拝見。

御拝道廊下を見る
御拝道廊下を見る。

紫宸殿西の土渡り廊越しに御拝道廊下を見ます。御拝道廊下は帝の通られる廊下で御所最大で最長の廊下です。小御所まで50mを越えます。御拝道廊下の北側には並立する形で非蔵人廊下があります。非蔵人は地下官人のことで現在でいうと政治家から「あれ書け、これ書け」とこき使われたそうです。非蔵人廊下沿いにはいろんな事務方の詰所や事務所がありました。

この御拝道廊下は複廊のように途中から合体し一つの廊下の真ん中に仕切る壁があって左は地下官人の廊下、右は帝の廊下と厳粛に分かれていました。

西土間渡り廊より対角に眺める
西土間渡り廊より対角に眺める御拝道廊下と紫宸殿に繋がる御廊下。

さらに対角にアップします。
西土間渡り廊より対角に眺める-2
西土間渡り廊を越え、より渡り廊下を対角に眺めます。


さらに紫宸殿の高欄から真っ直ぐに視た御拝道廊下。
紫宸殿から御拝道廊を見る-2
紫宸殿から御拝道廊を見る。

こうして渡り廊を見ると、御殿に渡り廊が繋がっているのと、ないとでは引き締まるというか御所の御殿群の美しさが引き立ちます。やはり火事はあっても渡り廊は止められない・・・・?

前と重複するかな?

北から眺めた紫宸殿です。
北から紫宸殿を見る-2



滝口を見る
滝口を見ます。

庭を警護する兵士が清涼殿東庭北東の「滝口」と呼ばれる御溝水(みかわみず)の落ち口近くにある渡り廊を詰め所にして宿直したことから、清涼殿警護の武者を「滝口」と呼ぶ様になり、そのことからここの詰め所を「滝口陣」と呼ばれるようになりました。ただし、江戸時代にも詰めていたのかは不明。多分、詰めていなかったのでは?。
まだ御溝水の落ち口がない・・・。

清涼殿東廂と女官が遠目に見える
むむっ!清涼殿東廂に何やら女官?が見える?

同様にもう一枚、
清涼殿東廂と女官が遠目に見える-2
清涼殿東廂と女官が遠目に見えるの-2。


ズームしてみる。
清涼殿に女官がいる

おぉ!やっぱり女官だ。緋袴がいいね。

この女官、誰かと思いきや、
かの幕末の大和絵画家の冷泉為恭が描いた「小袖緋袴夫人図」の女官。絵から飛び出してきたのだろうか?

いや?私の頭が飛んでいる?
※冷泉為恭は幕末期の公家召抱えの復古大和絵の絵師。多くの傑作を残している。私も好きな大和絵の画家。
冷泉の苗字を使っているが公家ではない。公家に憧れて冷泉と名乗った。しかし、そのことがアザとなって、佐幕派のスパ イと誤解され最後には尊皇攘夷派に暗殺されてしまう。どちらかと言うと私も公家憧れなので気を付けなければ・・・と、これは私の完全なる被害妄想でした 笑。



渡り廊も出来たし御所の建物群をパチリ。
東から御所を見る
東から御所を見る。右手の方が今回作った渡り廊です。


後、先回作成そして殿上間に添えた立蔀ですがどうも形状が違うので変えてみました。
こちらです。
立蔀を変更しました
立蔀を変更しました。


折角ですから立蔀越しに御拝道廊下を見ます。
立蔀越しに御道廊下を見る拝


次に紫宸殿の北廂に繋がる露台周りのCGを何枚か。
露台とは建物の外に張り出した、屋根のない床縁のことですが、
今回の御所の露台には屋根があります。東側が壁のない吹き抜け。高欄が巡っています。御拝道廊下と繋がっており、床高さは2.4mほど。下を人が通れます。西向きの方は壁があり格子窓から清涼殿等が眺められます。

露台を眺める
御所の東から眺めた露台。床面が高いのがわかると思います。


露台の公家と女官

おぉ!ロメオ卿とジュリエット姫? 忍ばぬ恋に落ちたか? 逢瀬か?
いや違いました。単なるお公家さんの出勤と女官が世間話をしているところ。誤解されないよう気を付けてね 笑。

ちなみにこの人物絵も冷泉為恭作。
女性の方は二代后図から。皇后さま? 非礼をお詫びします!


男性は鷹狩図より抜粋。

紫宸殿高欄から露台を見る
紫宸殿高欄から露台を見ます。


露台の格子窓から見る
露台の室内。格子窓越しに外を眺めます。


東から露台と渡り廊を眺める
東から露台と渡り廊を眺めます。

両方のバランスがいいですね。

さぁ、そろそろ夕刻が迫ってまいりました。
御所も赤く染まりつつあります。

茜空が美しい御所を何枚かアップします。

夕暮れの御所全景
夕暮れの御所全景です。


夕暮れに御所の甍が見える
夕暮れに御所の甍が段々と暗くなっていきます。


夕暮れ時の御所と紫宸殿を見る
紫宸殿にも夕刻が迫っています。


さらに暗くなった
さらに暗くなった紫宸殿。


茜色の空に建春門が孤高に聳え立ちます。
夕焼けの建春門

もう間もなく夜がやってきます。
「良い子は早く寝ようね 自戒・・・」。


コメントの書き込み&閲覧はこちらから


ランキングアップします。ポチっと励ましの一押しお願いします!


にほんブログ村 ポエムブログ 短歌へ
にほんブログ村

※ お問合せのメールフォームは左サイドバーにあります。お気軽にどうぞ。

※ ブログに掲載する3DCG、加工済画像等の無断転載は固くお断りします。
関連記事
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

トラックバック

トラックバック URL
»»この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

左サイドMenu

ブログ内検索

短歌も詠います

短歌一覧はバナーを押して下さい。

タグ一覧


全記事(数)表示

全タイトルを表示

※表示しきれない記事タイトルは「前ページ」で見れます。

プロフィール

梅村京一朗

Author:梅村京一朗
(けいいちろう)、
寝つきの悪い夜は、いにしえの京を想いながら寝ます。すると鼓の音のように京の日々歳々が甦ってきます。・・・浅き夢みし男のブログ語りです。

お問合せメール

名前:
メール:
件名:
本文:

最新コメント

<>+-

ブロとも申請フォーム

アンケート

今日の言葉

京都お役立ち情報

短歌ブログランキング

マーケット情報

QRコード

QR

ブロぐるめLite


写真提供 ホットペッパー.jp
Powered byリクルートWEBサービス
developed by 遊ぶブログ

右サイドメニュー

最新記事

カテゴリー

openclose

人気ページランキング

開始日:2016/11/6

ブログパーツ

キーワード別記事リスト

月別アーカイブ

カレンダー

08 | 2018/09 | 10
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 - - - - - -

天気予報


-天気予報コム- -FC2-

検索・買物に利用して下さい

日本史ブログランキング

FC2カウンター

ブログ開設より2017年12月25日までのトータルアクセス数は11万近くを数えました。お礼申し上げます。リセットされた状況は下段に説明しています。

泣く‼ カウンターがリセット!

SSL(暗号化)に対応するためカウンターを一旦削除。再設定したらリセットされ「0」に・・・大泣き‼

2017/12/25日までのトータルアクセス数(一人一日一回のみカウント)は11万近くありました。最近はSSL等の影響でfc2のカウント数と実際の解析によるアクセス数の乖離が大きくなっています。日によりfc2の2~3倍が正味カウント数となっています。2018年を迎えたら、さらに2.5~6倍もの開きになっています。キーワード検索も表示ゼロで、どんな記事、内容に関心があるのか?こちらでも把握できていません。良い記事を書くための参考にしたいのですが・・・残念です。とりあえず現況をお伝えしました。