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3D京都

いにしえの京都を3Dで再現します。短歌、史話、公家さんも書きます。

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御所 紫宸殿の回廊と諸門を作りました

承明門に次ぎ御所紫宸殿を取り巻く回廊と諸門を3Dで作ってみました。

この現在見る、京都御所の紫宸殿を取り巻く回廊と諸門は御所の焼失により安政度(1855年)に再建・造営されたものですが、そのお手本となった内裏は寛政度(1790年)に造営された御所で、安政度はほぼそのまま配置・形式を踏襲したものです。

寛政度内裏の特徴は、紫宸殿の南庭に回廊と諸門を平安の古制に倣って復古造営したことです。

それまでの桃山・江戸時代に造営された内裏には寛政度のように回廊と諸門を備えた正規の即位・儀式空間はありませんでした。たとえば江戸時代の初期、慶長度(1613年)の内裏には回廊などなく、驚くのは紫宸殿の前に能舞台が存在したことでした。(クリックすると何れも拡大します)

慶長度内裏図
慶長度内裏。赤く囲った所が紫宸殿と南庭。何と能舞台があった。

能は特に将軍や大名など武家が好んだ芸能です。つまり江戸初期は御所といえども武家好みの書院等を取り込んだ寝殿風と書院造りが混ぜ有った折衷御所でした。

このような御所では満足な即位式や朝廷儀式も十分に行われず、朝廷にとっては平安復古は悲願でした。で、その復古運動が実ったのが寛政度内裏。同様な安政度の内裏です。
安政度内裏図(2年1855年)
安政度の内裏。紫宸殿の前が赤色で囲うように回廊と諸門が描かれています。

上記に基づき今回再現してみました。

まずは現在の御所図に完成した同回廊等の建物を配置してみます。
紫宸殿南庭回廊図
完成した3D建物の配置です。図の出典は新潮社刊・日本名建築写真選集「京都御所・仙洞御所

回廊の広さは東西約80m、南北76m。実際に見学してみると広く感じますが、即位式とかするとなると少し手狭な気がします。平安時代の内裏は承明門とその左右に並ぶ回廊の長さだけでも東西に200mに達していました。さらに、ここ内裏は天皇の住まわれる内廷にあたり公的な空間ではありませんでした。即位となると大内裏の中心・朝堂院で行われました。もちろん内裏よりさらに大きいです。

現京都御所は平安時代、元々、里内裏(土御門内裏)だったものが、内裏の火災による一時的な臨時の御所になり、それが南北朝の頃から正式な内裏として明治まで続いたものです。

さて、蘊蓄はこのぐらいにして、3DCGのアップに移ります。

まず、正面から、

御所の紫宸殿南庭回廊全景
紫宸殿南庭回廊全景。

まだ、御所の一部しか再現してませんから、ショボイかもしれませんが回廊が付くとそれなりな外観になりますね。と、自分で言ってみる。

では、承明門を東にずれて一枚パチリ。
承明門と回廊と紫宸殿

段々、承明門から南に入ろうとしてます。

承明門前から見た紫宸殿
承明門前から見た紫宸殿。

さらに、承明門越しに紫宸殿全体を見ます。
承明門内から見た紫宸殿



南東から見た紫宸殿
南東から見た紫宸殿。

いまいち、迫力に欠けるかな。せっかくだから、東側から日華門と紫宸殿を見ます。
日華門と紫宸殿
東側から日華門と紫宸殿を見ます。

元々、 平安時代の内裏にあった宜陽殿(朝議の建物)と春興殿との間にあり、紫宸殿南庭の東側の入り口門です。東の中門ともいい左近衛府の陣に充てられたため、左近陣(さこんのじん)とも言われました。左近陣とは儀式の際、左近衛府の武官が詰めて警衛した場所で陣座がありました。日華門あたりは朝廷の重要な朝議が行われたことから南庭西側の門・月華門より格が上とされました。

では格下?の月華門側から見た回廊と紫宸殿、
月華門と紫宸殿



北西から見た紫宸殿
北西から見た紫宸殿と回廊。


それでは回廊内に入っていきます。

紫宸殿北から見た南庭
紫宸殿北から見た南庭の回廊。


回廊内から見た紫宸殿
西の回廊内から見た紫宸殿。


次は当然東の回廊から、
紫宸殿回廊と公家(影あり)

うん?誰かが歩いている。朝議に向かう参議?にしても、衣冠束帯が似合う。長い裾を支える従者がいない?大丈夫かな?転ばないといいけど。なんてね、私の勝手な想像です 笑。なんか影が差してますね。(出典:光琳社出版「原色 日本服飾史」井筒雅風著)


ちなみに回廊は複廊と言って真ん中の壁の左右に屋根と柱と通路があってそれぞれに人が歩けるようになっている。古代の宮殿や寺院にはよく見られましたが近世は少ない。というか滅茶苦茶少ない。御所の回廊は貴重ですよ。
御所の複廊
御所の複廊。見ればわかると思います。

さて、一応、回廊周りをご紹介しました。

で、一つ疑問というか、なぜ?と思った点を書きます。

御所を見学された方なら見ていると思いますが、その回廊の壁には窓が一切ありません。白い鮮やかな漆喰が延々と続きます。それがどうした?と言われるかもしれませんが、3Dを作る過程で気になったんです。

普通、回廊の壁には大概、連子窓が付きます。菱形の細長い木材を縦又は横に連ねた連子を嵌め込んだ窓を連子窓と言います。採光、通風、防犯とかに使います。寺院や神社で用いられることが多く、法隆寺や薬師寺、春日大社、平安など結構多くみられます。とくに柱が丹(朱)で壁は白の場合は格子が緑に塗られることが多いですよね。
連子窓
連子窓の例。


年中行事絵巻の連子窓
平安末期の年中行事絵巻に描かれた大極殿の回廊にも連子窓が付いています。


その、連子窓がまったくない?どうして?となる訳です。

儀式を行う場だから?でも同じく儀式を行う朝堂院の回廊には描かれている。風通しもよくない。夏など熱がこもり暑いよね。採光もとれるし。細工するお金が足りなかった?う~ん、それもないかな・・・。

意外と冬の寒さ対策かも?平安期の朝堂院には廷臣たちの詰所・建物が序列に従って12棟ほどありました。そこで休憩したんですね。暖かいお茶を飲んでいたかもしれない。その詰所建物が京都御所の回廊内にはない。ということは回廊自体が詰所で従って寒い北風が入って来ないよう、また、回廊の外からお茶を飲んでるちょっとダラケタ姿が見えない?

やっぱり、わからない。素木造りの紫宸殿には緑の窓は似つかわしくないからかなぁ?意外とそうかも。

上の方で、今残る安政度の御所は寛政度のものをそのまま引き継いでいると書きましたが、寛政の御所は王朝回帰の復古建築で建てたためかなり費用がかかったよう。時の幕府財政改革を推し進めたのは、あの18世紀後半に徹底的に質素倹約を実行した松平定信。彼は復古など、そんな費用のかかる御所の再建についてかなり不満をもったよう。その、彼のせめてもの意趣返しが「窓無し」?。それはないか。
あの年中行事絵巻には内裏の南庭に回廊も描かれていますが、その回廊も上から見下ろす形で描かれているので肝心の回廊の内側壁がよく見えない。一見、壁が無いようにも見える。

だとすると、御所の回廊に窓がないのも頷ける。寛政度内裏は平安古制の内裏を考証した裏松固禅の研究成果にかなり基づいている。徹底的に復古を調べた固禅なら、「あ、そう、窓がなかったよし、じゃ、その通りにしよう」。案外、そうだったかもしれない。

でも、「なぜ、窓がなかったのか?」自体については、やっぱり理由がわからない。誰かわかる方いたら教えてください。コメントに書いてください。

3D頑張って作ったせいで、「窓問題」が発生してしまった・・・

でも、御所の3D作りは続きますよ 笑。

次回は、やっぱり、御所を取り巻く塀がないとどうも締まりがないから塀、そして正門の建礼門を先に作ろうかな、と考えています。長文失礼しました。



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