3D京都

いにしえの京都を3DCGで再現します。史話、短歌も詠みます。

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孫を歌うな、老いを歌うな、夫婦を歌うな・・・

まずは現場レポートから、
「インスタやるとAHOになる?」で書いた某楼閣の3D作りですが、とりあえず幾つかある屋根の一つが出来ました・・・、ホントはもっと屋根を作る予定だったのですが、ここ二日、熱が出てしまい作る気になれませんでした・・・。体力無い割に食欲は普通にあるのですが、自分の場合、疲れてくると喉が炎症を起こす癖があって、怠け心に余計拍車をかけている次第で面目ないです。
※ 後ですね、書体も人気のある「メイリオ」に変えました。ブログランキングも事後報告ですが、日本史部門は「総合人気ブログランキング」に集約、短歌は「日本ブログ村」の短歌部門に移しました。ともにブログのランキングサイトでは最大級なのでその相乗効果も期待してます。

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私は詩人の中野重治の詩が好きです。もう故人ですが詩の世界では知られた方です。

中野重治
詩人の中野重治

好きな「しらなみ」という詩のなかで、

 ああ 越後のくに 親知らず市振(いちふり)の海岸
 ひるがえる白浪のひまに
 旅の心はひえびえとしめりをおびてくるのだ


と歌う一節があって好きですね。人を寄せ付けない断崖の海は荒々しいまでに旅人の心を締め付けるのに彼は、「しめりをおびてくるのだ」と淡々と詠んでいるところに斬新な感覚を覚えます。

その中野重治にはもう一つ知られる詩があります。

「歌」という詩で、

おまえは歌うな
おまえは赤まんまの花やとんぼの羽根を歌うな
風のささやきや女の髪の毛の匂いを歌うな
すべてのひよわなもの
すべてのうそうそとしたもの
すべての物憂げなものを墢(はじ)き去れ
すべての風情を擯斥(ひんせき)せよ
もっぱら正直のところを
腹の足しになるところを
胸元を突き上げて来るぎりぎりのところを歌え
たたかれることによって弾(は)ねかえる歌を
恥辱の底から勇気をくみ来る歌を
それらの歌々を
咽喉をふくらまして厳しい韻律に歌い上げよ
それらの歌々を
行く行く人々の胸郭にたたきこめ


要は昔から歌ってきた花鳥風月、単なる感傷、もののあわれ、などの伝統的な和歌はもう歌うな。もっと、リアルな人間の生活と葛藤を歌え!との意味合いを込めているものですが、これは、中野重治が一時期、共産主義に傾倒し、いわばプロレタリアートのための詩を歌え、との宣言をした詩です。

で、それと、今回の記事タイトルの「 孫を歌うな、老いを歌うな、夫婦を歌うな」と何の関係があるの? と言うわけですが、レトリックの一つとして、本当は可愛い孫を歌いたい、老いの寂しさや安らぎ、夫婦の絆を歌いたい・・・それは人の感情としてごく自然なことだと思います。ただ、身近過ぎて歌というよりも私生活の語り合いみたいになって、それが短歌の表現領域を狭めてしまうのでは・・・という危惧を、ふと、感じるからです。日本では明治から純文学=私小説、という面があって、それは現代にも続き、たとえばお笑いの又吉直樹氏作の「火花」も自己の体験に基づいた小説になっています。私小説が日本の文学表現の幅を狭めている・・・という批評はずっと以前から言われてきたことですが、短歌にもそれは当てはまるような気がします。

なにも短歌は年配の人たちだけのものではなく、若者も含めた幅広い世代で詠まれています。ただ、現実的には年配の方が多く、歌う題材も身辺雑記的な地味なものが多いのが実情です。地味だからダメなのか?、と問われれば「そんなことありません」としか答えようがありませんが、歌う動機が「とにかく作ってみよう」だと、どうしても平板で地味なものになりがちです。私も昔、短歌の結社誌に属し毎月、何首か投稿していましたが、それは義務のようなものであったので自分なりに気に入った歌もなかなかできませんでした。以来、まったく作らない時期、たまに作る時期とかいろいろあって、今は、ただ、折に触れ、眼に触れ、何か共感と感動、さらに美を覚える対象に出会ったときだけ、自然と短歌の一節、ストーリーが浮かんでくるようになり、詠いたい!という衝動に駆られるのです。作歌の対象は、極端に言えば、生きてきて出会ったすべてのもの、目に見えない風や実体のないものであっても、自分と触れ、撹拌し光合成を興すときがある。すると私はそれに感応する。だから、いつ、歌と遭遇するかもわからない。泥濘に足を取られても、そこに「心の光合成」が生じれば、もう詠むモードになる。

ですから、やはり、短歌には単純に「まず先に、情趣、感動ありき」で、そこから生み出されたものが人の心を惹きつける・・・そんな流れが相応しいのかなと思うのです。

「孫を歌うな、老いを歌うな、夫婦を歌うな・・」と言ったのも、実はそれらを直接歌うのではなく、孫を通して、老いを通して、夫婦を通して、その先にある誰でも共感できる歌の領域がある。そこには、普段、無関心だった人や若者たちも集まってくる・・・そんな短歌の世界を夢見ているからです。

現代において短詩系文学はとくに若者から離れている。辛気臭い、華やかさがない。老人の歌うもの、LINEで十分、そんな時代状況のなかで、短歌はどうしたらまた、みんなの興味を引くことができるのだろう?

それは自由詩である現代詩にも同様に言えることだ。
今の時代は詩で心のうちをうたう言葉、文学の衰退期に差し掛かっている。
ではどうしたら?

もう一度、万葉の昔にもどろう。
煩雑な現代は5、7調で繰り返される長歌のなかに織り込もう、、そして最後の結詞に短歌にまとめよう。
長歌の抑揚と韻はきっと日本発のラップになるだろう、と。




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2017年5月8日更新

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