3D京都

いにしえの京都を3DCGで再現します。随筆、短歌も詠みます。

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創建時の「修学院離宮」を再現してみました。

まずは修学院離宮の景色で一番よく知られる上茶屋の浴龍池越しに見た離宮の写真を一枚。

修学院離宮全景

今回は再現ということですが、
実際は離宮内に今も現存する建物、そして廃絶した建物を案内図や航空写真地図に配置して二次元的に再現したものです。
それなりに往時の姿を想像する手立てにはなると思いますので読んでみてください。

で、
離宮について概要を述べておきますね。
修学院離宮は上御茶屋(かみのおちゃや)、中御茶屋(なかのおちゃや)、
下御茶屋(しものおちゃや)と呼び習わす3か所の庭園からなり、面積は54万平方メートルに及ぶます。

各御茶屋の間には田畑が広がり、細い松並木道が各御茶屋を結んでいます。
上御茶屋と下御茶屋は、後水尾上皇(第108代天皇)の指示により、
1655年(明暦元年)から1659年(万治2年)にかけて江戸幕府が造営した離宮です。
後水尾上皇は造営中の離宮を自ら訪れて造営の指図をしたというほど情熱を傾けて造られた
まさに壮大な王者の雰囲気をもつ離宮です。

よく桂離宮と対比されます。
桂が回遊式庭園と雁行する御殿群が一体となって日本的な美を形成し、
あのブルーノ・タウトも桂離宮を、簡素さの中に美と深い精神性を表した建築及び庭園として高く評価した
ことはつとに有名ですよね。

とくに古書院の広縁から張り出した竹縁(月見台)から庭園を鑑賞できる様は
まさに「月の桂」とも言うべき風流の極みです。

それに対し、修学院離宮の方は、
京都北山の山々を借景に人工の池を巡らし、
山の斜面に展開されるスケールの大きい眺望型の離宮です。

創建当初から残ってる建物は窮邃亭のみです。
一方、桂離宮の方は、
庭園だけでなく創建時から残っている建物自体の芸術性も高く、
それらが相まって、修学院よりも高い評価を得ているのは衆目の
一致するところです。

しかし、かつての修学院離宮には、
たとえば桂の竹縁の月見台に対して、
洗詩台という亭が存在し、
そこでは、それこそ浴龍池を望むなかで詩や管弦を吟じたり、と、
様々な寛永の華やかな文化が展開されたと思います。

「もし修学院離宮にかつては存在した亭閣群が現在に残っていたら
ひょっとして桂離宮よりも高く評価されたかもしれない・・・」と想像すると、


では、どういった建物が存在したのか?
と問われますが、
残念ながら具体的に残ってる立面図はありません。
絵図、指図等だけです。

それでも離宮の案内図や航空写真に
それら建築の平面・形だけでも配置することによって、

見る人それぞれの「修学院離宮」が蘇ってくると思います。

そういった視点からも再現を試みた次第です。

では、さっそく、その建物を配置した再現図を載せます。

なお今回の記事については、
その多くを森 蘊(おさむ)さんの書かれた「修学院離宮の復元的研究」から
指図、文面の一部を引用させて頂きました。

森氏はもう亡くなって30年ほどにもなります。

同書は、1954年の刊行。かれこれ62年も前の本です。
これだけの年数が経っても、いまだ修学院離宮の研究本としては第一級の良書です。
当時、奈良国立文化財研究所に奉職されていたときの著作。
養徳社から出版されています。
日本の造園史家。庭園研究家としても第一人者で、
かの「平安時代庭園の研究」はその精華の一つです。

修学院離宮案内図_建物配置図_ラベル3


青く塗った建物の平面は現在も残る建物。
赤く塗ったものは、かつては存在したけれども、今は廃絶してしまっている建物を表します。
赤の建物には〇〇跡と、建物の名称が記してあります。

航空写真の地図にも配置してみました。

修学院離宮航空写真_建物_ラベル3


いかがでしょうか?
かつての離宮の有様が多少なりとも伝わったでしょうか?

下茶屋の寿月観も創建当初は蔵六庵や二階建ての楼閣である彎曲閣など
多くの建物棟から構成される御殿ののなかの一部でした。
当時の下茶屋の数寄御殿の規模の大きさが忍ばれます。

では下茶屋から入っていきます。
まず目に入ってくるのは寿月観です。天皇の御座所です。

寿月観
下茶屋の寿月観です。離宮内の代表的な建物です。
現在のものは文政7年(1824年)に再建されました。


この寿月観も含まれる創建時の間取りを森氏が復元されていますので紹介します。
寿月観復元図

ここ下茶屋には、当時、後水尾上皇行幸の折り、
多くの随身・侍女を従えていましたから様々な部屋がありました。
御座所の隣には蔵六庵といって家臣の控えの間になっていて、
部屋の名前に「庵」を付けているところがおもしろく、いわば家臣用の茶屋空間だったらしい。
他に、今でいう台所にあたる「清所」、湯殿、奏者所、乗り物小屋、留守居役宅等がありました。

寿月観の斜め前には二階建ての彎曲閣がありました。
回りを枯山水で囲まれ眺望のよい楼閣で、
日中は外側に広がる水田で働く農民の姿や比叡の山、夜の月を眺めたようです。
建屋の形、間取りもわかってはいません。

次に中茶屋へ移ります。
同茶屋は、後水尾上皇の第8皇女・光子(てるこ)内親王のために
1668年(寛文8年)造営された朱宮(あけのみや)御所が前身です。
上皇の崩御後、林丘寺という寺に変わり、
明治になって、同寺の楽只軒と客殿が分離する形で修学院離宮に含まれました。
ちなみに客殿は上皇の皇后・東福門院の女院御所の対面所を移築したものです。
5枚の欅の棚板を高さを違えて設置した「霞棚」は有名ですよね。

この林丘寺の明治の分離前の指図が残っていますので載せます。

林丘寺全体図_ラベル


ピンクで囲ったところが離宮へ編入された楽只軒と客殿です。
このとき、楽只軒の西側に続いた大書院及び北側の玄関等の付属屋は現在に林丘寺に移築されました。


さて、最上層の上茶屋です。


ここには現在残っている隣雲亭
隣雲亭


や、唯一、創建時から残っている窮邃亭があります。

窮邃亭

そして、今回、今は残っていませんが、ご紹介する目玉が浴龍池の北岸、船泊にもなっている「止々斎」です。
止々斎は上茶屋で一番大きな建物で、複雑な間取りをしていました。
おそらく、形もかなり凝ったものだったと思われます。
修学院離宮の代表的景観である隣雲亭や洗詩台から眺める
浴龍池とその先の洛北の山々。
その視線のピンポイントに存在した止々斎。
今、もし残っていたら、こここそ、雄大な庭園と建築が見事に融合され景観として、
離宮の評価はさらに上がっていたことでしょう。
廃絶したのが残念ですね。
止々斎図(復元)
(森氏による止々斎の復元された指図)

ちなみに同止々斎は上皇はじめ皇族・公家・側近たちの食事や休憩するところであり、
舟遊びの船着き場でもありました。

この止々斎も天皇の行幸もなくなる(というか幕府がいかせなかった)と、
仙洞御所が焼失した際、宝永6年(1709年)ごろ同御所へ移築されてしまい、
その後の再度の火事でオリジナルは完全に消えてしまい、
後は、名称は同じだけど間取りは違う・・・みたいな感じで再建されましたけど
それも焼失。

幕府の御用大工だった木子家文庫(東京都立中央図書館)には、
仙洞御所に移されて以後の止々斎の指図が残っています。

止々斎図(大)

どうでしょう?
創建時の間取りと合ってない気がしますけど。

後、もう一つ、隣雲亭から張り出した広縁、もしくは付属した建屋だったか
不明の部分もありますが洗詩台という付属施設がありました。
読んで字のごとく詩歌管弦の舞台だったと思われます。

他には「腰掛茶屋」のような小休止するための屋根付き小建屋も幾つか
あり、番屋や門とか加えればもっと様々な建物があったと思われます。

ちょっと駆け足でしたけど、
創建時の「修学院離宮」の再現でした。


付記:参考文献「修学院物語」宮元健次著 彰国社刊。





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